ダイエットと受験勉強

ダイエットは失敗する人が非常に多い、永遠のテーマともいえるものですね。
炭水化物を抜くとか、野菜しか食べないとか、一日一食だけにするとか、
毎日10kmジョギングをするとか、
極端な方法を採ると、たいていは失敗に終わります。
長続きせず、反動が出て、大きくリバウンドしてしまうことが多いです。
反動が出てしまうのは、がまんをしたり、大きなストレスを抱えたりしながら
であったことが、原因です。

受験勉強もよく似ています。
極端な計画を立て、この計画通りにやれば志望校に手が届くぞ!と思って
やり始めても、おそらく初日から、こけてしまいます。
・計画を立てることにエネルギーを費やし過ぎて消耗してしまうこと、
・焦りや不安感が、計画を立てたことで一時的に消えてしまうこと、
・これまであまり勉強してこなかったので、自分が時間あたりどのくらいできるかを把握できていないこと、
・元々が無理な計画なので、それをこなすことができる生活習慣ができていないこと、
・順を追って思考力を伸ばし知識を定着させながら進んでいくべきところ、
 短期間に進もうとして思考力も知識も全然足りず能力面で無理があること、
・計画の実行自体にがまんが必要でストレスとなり、実行せずに逃避したくなること、
などが原因です。

部活動を引退したら受験勉強に専念するぞと考えている人は多いでしょうが、甘いです。
部活動をしながら難関大学・学部に合格する人も、例外的に存在します。
高校の教師はそういう人を模範生として紹介したり、部活動をしたからこそ合格したという
(まちがった)紹介をしたりすることがあります。
しかし、両立させた人は、部活動をしているときから勉強の成績も優秀だった人です。
もちろん時間の制約から十分な勉強まではできなかったでしょうが、
基本はきちんとおさえ、どこまでを理解し、どこからが曖昧かを明確にできていた人です。
そして高校のテストや模試でも悪くはない結果を出していたはずです。
元々優秀であった人は、勉強を効率よく進めることができるので、成績もトップクラスを
維持することができています。
部活動をしながら難関大学・学部に合格した人がいる、という情報だけで、
自分も部活動をしながら同じように難関大学・学部に合格できるなどと考えるのはまちがっています。
前提も、1、2年の過ごし方も、みな違っています。授業中の集中度合いも違っています。

高校の教師が、上記のようなことを言い、だから部活動をやるべきだと主張した場合、
その逆も併せて考えましょう。
すなわち、部活動に没頭し、勉強はそっちのけで、追試や補講の常連で、
偏差値の低い大学を受けて不合格になってしまった人も存在するのです。
都合の悪いことは考えたくないので、無意識的に無視をしているのです。
教師はそれをわかっていて、少し自尊心をくすぐりながら、煽っているのです。
教師自身は部活動をがんばってきた人かも知れませんが、必ずしも難関大学・学部の出身では
ないことの方が多いはずです。自分が実行していないのに、生徒に押しつけています。
例外に着目させるのは詐欺に近いです。
それにひっかかった生徒は、賢さが足りていません。

模試の主要科目の成績が学年で平均以下の人は、
もし難関大学・学部を目指したいのなら、部活動に没頭している場合ではありません。
(定期テストではなく模試です)
「平均以下」というのはきわめて甘い(ゆるい)表現ですが、
少なくとも平均以下で難関大学・学部に現役合格することは、まずありません。

すでに高3生になり、部活動を引退したばかりだったり、まもなく引退する人の中で、
学年で平均以下の人は、夏前からの勉強をいくら真剣に行ったとしても、
難関大学・学部に合格することは難しいです。
理由は、大学入試は単なる知識の暗記で対応できるものじゃないからです。
脳の中に思考回路を作ることが必要で、シナプスの結合を増やしていくために
時間がかかってしまうからです。

それは、ダイエットで、1ヶ月で10kg痩せようとするようなものです。
体重自体は食事制限で落とすことはできますが、脂肪よりも筋肉の方が先になくなり
基礎代謝が低下して、リバウンド必至の体になるだけです。つまり失敗するダイエットです。

定期テスト直前に夜更かしをして、知識を詰め込んでテストに臨み、
終わるとともに知識も抜けていく生活をしている人は、
まさにこのダイエットと同じことをしており、ムダどころか有害なことをしていると
気づくべきでしょう。

筋トレをしタンパク質を摂取しながらのダイエットの場合、筋肉は維持できますが、
筋肉が重いので体重は望むほど急速には落ちていきません。時間がかかります。
健康的に、リバウンドなく痩せていくためには、
短期間の無理なダイエットではなく、時間をかけて体を作っていくことが必要なのです。

脳も時間をかけて作っていくことが必要で、それが正しい勉強です。
知識の詰め込みでは難関大学・学部の2次試験で戦えません。
覚えてあてはめるだけの能力しかない人は、大学から求められていません。

勉強することを生活の一部として、
高校生であれば、生活のメインとして、
自分の脳を発達させ、将来の可能性を自ら拓いていく行為として、
日々の生活に取り入れていてほしいものです。

勉強でなくても、将来の自分の進路を考え、それにつながる行為に
自身の時間と努力を注ぎ続ける日々を過ごしてほしいです。

一時的な(失敗する)ダイエットをしてその場をごまかしたいのか、
健康を維持できるダイエットをして良い生活をしたいのか、
どうなりたいのか、現状のままだとこの先どうなるのか、
それをいつも考えながら、後悔のない日々を送ってもらいたいです。