子どもの可能性を引き出すために、親ができること


親は子どもの将来を心配します。
それは当然のことで、本能です。
愛情が深い親ほど、心配も強く大きくなりがちです。
特に母親ほど、心配してしまいます。

親が子どものことを心配すると、
その心配の波動は子どもに確実に伝わります。
そうなると、何が起こるか。

子どもは親を心配させまいと、自分にブレーキをかけ、
安全に生きるように、生き方を選びます。
背伸びしたりチャレンジしたりしなくなります。

その結果、子どもの可能性は眠ったまま芽が出る機会が失われます。

では、どうすればいいのか。

親は子どもに関して、心配をしないように努力すればいいのです。
決して放任や放置ではありません。
すごく気になるし、心配するなと言われても気づいたら心配してしまうものですが、
がんばって、努力して、心配しないようにするのです。
かなりの努力が必要になります。本能に反する行為なので。

心配することの反対は何か。

信じることです。
「あなたなら、絶対だいじょうぶ」と言ってあげることです。
言わなくても思ってあげればいいです。

子どもの将来、子どもの可能性、子どもの運を信じてあげること、
そして、何かあったら親が全力でカバーする、守る、そう覚悟することです。
全部引き受ける覚悟で、子どもを信じてあげることです。

親に信じてもらった子どもは、自尊心が芽生え、根拠のないまま自信を持てるようになります。
親に信じてもらえず、心配ばかりされた子どもは、自信がなく、ネガティブな性格になります。

いざというとき、底力を発揮するのは、どちらでしょう。
そうなってほしい子どもの姿は、どちらでしょう。
セルフイメージが高くなるのは、どちらでしょう。


すでに高校生になってしまっている場合、
それまでの十数年分の蓄積や習慣やくちぐせが邪魔をするでしょうが、
それでも、子どもが頑張り始めたなら、心配する代わりに信じてあげてほしいです。
子どもが自分の可能性に精一杯チャレンジする意欲を持てる環境を、作ってあげてほしいです。
ゲームへの逃避はチャレンジではありません。現実の自分を成長させているかが判断の基準です。
失敗することもあると思います。
失敗しない人生はありませんし、失敗した経験がないと失敗をおそれる気持ちが強くなりすぎます。
失敗するから成功できるんだと、わたしは思っています。
失敗を重ねて耐性があればこそ、新しいチャレンジができます。
失敗しないと学べないことも、たくさんあります。
何かを学ぶことができたなら、それはもう失敗にはなりません。
無難で安全な人生では、生きている実感が味わえないです。
人生を終えるときに、もっといろいろやっておきたかったと思うはずです。
こわくて行動できなかった、他人の目を気にして何もしなかった、どうせならあれをやっておけばよかった、これもできたかも知れない、なんて後悔してほしくないです。
だから、親は、子どもを信じて、チャレンジできる環境を作ってあげてほしいです。
そして、その結果、子どもが失敗したとしても、全力でやった結果であれば、それでいいと、腹を括ってほしいです。
世間体や親の見栄の材料にするのではなく、子どもが自立するための、羽ばたく練習をするための機会をどんどん与えてあげてほしいです。
失敗してもいいから、思うようにやってみろと、子どもに言ってあげてほしいです。
自分で考えてした行動は、すべて自分の責任となります。責任転嫁できません。
だからこそいいのです。

親の世代が生きてきた時代は、一部高度経済成長期で終身雇用制が残っており、
大企業の正社員になれば安定した生活が半ば保証されたような時代でした。
もうすでに、それは破綻し変容してしまっています。
大企業であっても、いきなりのリストラや倒産も、珍しくなくなりました。
以前であればフリーターで生活を続けることも可能でしたが、
海外から安い労働力が流入してくることで、フリーターが成り立たなくなっていきます。
高度なスキルを備えたフリーターのみが選別され、ただの労働力はより安い方に置き換えられていきます。
最低賃金が上昇すれば大丈夫かというと、上昇した賃金に見合う労働者の選別が始まり、能力が重視されるようになってきます。
働き方改革という名目で残業代も消えていっています。
親の世代には、理解しがたい社会状況になってきているので、親の「常識」はもはや通用しません。
これから先は自ら考えて自ら行動する人だけが、よりよい生活を手にすることができるようになりそうです。
そんな新しい時代でどう生きていくか、それは、子どもが自ら経験を重ねつつ、自らの頭で考え判断するしかありません。
模範解答がなくなり、多数の多様な正解が生まれています。自らの思考を試行(行動)に移して自らの正解を探しにいくほかありません。
子どもが自立して、自律的に自身を動かしていけるようにすること、それが子育ての最終目的だと思います。
今の時代は、まさにそれが求められています。


子どもの可能性を引き出すために、親ができること、
子どもが本当に全力を出して何かにチャレンジするために、親ができること、
それは、覚悟をして子どもを信じることだと、信じています。
わたしは、そうしています。