仮眠制度はじめました。
<要点>
睡眠不足の場合、および、暗記の定着率を上げたい場合に利用できる
机に仮眠中の札を立て、タイマーで昼寝時間を設定してから、机で昼寝する
<説明>
高校生はまだまだ自分自身をコントロールすることに長けておらず、
周囲の影響や感情の乱れで生活リズムを崩してしまうこともあります。
また、テスト前は睡眠時間を減らして勉強するのが当たり前、という、謎の愚行信仰に
染まっている人もいて、夜更かししたことが勉強したことの満足感・達成感につながって
いたりします(これは本当に愚行でしかなく、バカにしかなりません)。
さらに、たまたま早朝に目覚めてしまい、そのまま起きてしまったという生徒もいます。
大人であれば、体調を考え二度寝しようとしますが、起きてしまってどうなるかの思考ができず、
誤った判断をしてしまうことがあります。二度寝するテクニックがないことも原因になっています。
睡眠不足のままでBENBUに来ても、当然に注意力散漫になり、効率が悪くなります。
ぼーっとしたまま何時間過ごしても、実力は上がりません。
そこで、睡眠不足の生徒のために、BENBU内で昼寝ができる、仮眠制度を始めました。
昼寝をしたい人は、仮眠中の札を机に立て、タイマーで昼寝時間をセットした上で、机につっぷして昼寝をします。
睡眠不足でなくても、暗記ものをした直後に、あえて仮眠をとって定着率を上げる目的でも利用できます。
ほかに、部活動で激しく運動したため体がクタクタで集中できない場合も、仮眠が必要な状態です。
少し仮眠を取ることで回復できるので、勉強に集中しやすくなります。
有名なのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)が宇宙飛行士の睡眠について行った実験で、
昼に26分間の仮眠をとると、認知能力が34%、注意力が54%上昇したというものです。
仮眠の有効性を支える資料となります。
"NASA's research showed that naps really can fully restore cognitive function at the same rate as a full night's sleep. The space agency found that pilots who slept in the cockpit for 26 minutes showed alertness improvements of up to 54% and job-performance improvements by 34%, compared to pilots who didn't nap."
"Cote and NASA suggest taking power naps between 10 and 20 minutes long. You'll get the most benefit from a sleep cycle without any of the grogginess associated with longer sleeping periods. You don't need to get through all five sleep stages, just the first two. Even just getting to stage 2 sleep for a few minutes will revive a napper enough to give him or her a new outlook on the day."
10~20分が良さそうということです。
より長時間の昼寝も良い効果があるようです。
Sara Mednick conducted a study experimenting on the effects of napping, caffeine, and a placebo. Her results showed that a 60–90-minute nap is more effective than caffeine in memory and cognition.
https://en.wikipedia.org/wiki/Power_nap
しかし、他人の体験は実はどうでもよく、
自分の体のことは自分の体で実験し体感して決めるべきです。
よその情報をうのみにしたところで、何もならないです。
自分で昼寝をして、10分がいいのか、20分なのか、30分なのか1時間なのか、
どういう体調のときにどうだったか、データを集め、それをもとに判断すべきなのです。
すぐに眠りが深くなる場合も、浅いまま推移する場合もあるでしょう。
同じ人でも状態によって変わるのは当然です。
そのときどきの体調・状況に合わせて時間を設定できるようになると、社会人になってからも有利です。
わたし自身も、社長プレゼンの前日に会社に泊まって準備をし、
前日帰っていないという情報が届いている社長に対し気迫も上乗せして企画を通させてもらったことがいくつもあります。
そんな日でも、トイレや会議室や行きつけの喫茶店などを使って5~30分程度の昼寝を数回取って乗り切りました。
全然疲れてなさそうなので「あいつは何なんだ」という言われ方をしたこともあります。
学校全体で昼寝(午睡)時間を設けている福岡県立明善高等学校では、
効果があると思う生徒と思わない生徒とに分かれており、効果を認めない生徒は昼寝をしていません。
つまり、人によって、また、体調や生活リズムによって、昼寝の必要性や効果は変わるということです。
人類に一律にあてはまるものではないのです。人によって異なります。
一人の人間に毎日あてはまるものでもないのです。日によって状況によって変わります。
昼寝は強制されてするものではなく、必要だと感じた人が感じたときに取ればいいのです。
いつでも昼寝ができる環境があれば、自由に取って、効率を最大化することができます。
他塾(既卒生向け)では、決まった時間に昼寝の時間を設けているところもありますが、
なぜ一律なのか疑問です。
いつもそうなら受験当日も習慣でそうなってしまうんじゃないかと危惧します。浅はかですね。
BENBUでは時間帯を決めず、各自に必要なときに取れるようにしています。
ただ、いつも睡眠不足になっている生徒には、生活リズムを整えるよう指導し、
直らないようであれば退部も含めて検討します。
原因はいろいろあるでしょうから、解消に向けて一緒に考え、できる限りのアドバイスもします。
「定期テスト直前は夜更かしするんだ」宗教に親まで洗脳されてしまっている場合には、
BENBUでは対応できません。
<ネット上などにあるウソの例>
30分以上の昼寝をすると、眠りが深い眠りになってしまい、起きた後もずっと眠気が続く
→ 1時間の昼寝をしてみたところ、そういうことはありませんでした。
情報をうのみにせず自分で実験してみることがとても重要です。
そうなる場合もあるのかも知れません。生物なので、必ずそうなるなんてことはないのです。
短い睡眠なら睡眠サイクルの第2段階までしか行かず、深い睡眠だと起きたあとも数時間は意識がもうろうとする
→ 上と同じですが、専門的な雰囲気を出している点で、たちが悪いですね。
睡眠の深さは同じ人でも日によってまちまちであることは常識です。
机の上での昼寝と、ベッドでの昼寝でも、かなり違いがあるはずです。
照明・雑音の影響も大きいはずです。
こうした点を無視して断言している点で、スタップ細胞を主張したニセ科学者と同類ですね。
だいたいレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルは、90分くらい
→ 90分間隔のときもあるし、それより長くなったり短くなったりして、目覚めに向かうものです。
脳波を測定しても、サイクルの長さはサイクルごとに変わっています。
一時期流行った、90分の倍数だけ眠ればスッキリ目覚める、なんて大ウソでした。
同じ人でも、日によって体調によってサイクルは変化します。
体は食べ物を摂取した後で消化活動を始め、「眠ろう」というサインを出す
→ 消化器官に血液が多く行き、脳の血流が減るだけです。
眠ろうというサインではなく、食べ過ぎると脳の血流が減る、というだけです。
昼寝は夜の三倍の効果がある
→ 謎の数値です。根拠はなんでしょう?三倍とした基準は一体なんなのでしょう?
30分以上寝ると睡眠が深くなり、その後も眠気が続いて逆にパフォーマンスは悪くなる
→ やってみたところ、そういうことはありませんでした。
睡眠不足の程度によるはずです。
15時以降に昼寝をすると夜の睡眠に影響が出る
→ やってみたところ、そういうことはありませんでした。
別の日にやれば、そういうこともあるかも知れません。
また、2、3時間くらい眠れば、そういうこともあるかも知れませんが、それはもはや昼寝とは言いません。