受験は総合力/2

林修先生の意見です。Youtubeから。

https://www.youtube.com/watch?v=Irpm0Zs5nJc
4分45秒あたりから6分47秒までを、以下に文字起こししてみました。
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教えている方もそういう多科目を、多くの科目をこなす訓練をしないまま大学に行ったと。
だけど、たとえば、これ、特に英語の先生に多いんですけど、英語を一生懸命勉強して「英語っておもしろいな」って英語できるようになった。
すると、そういう先生が英語について素晴らしい授業をやると何が起きるか、というと、(教わる生徒は)「わー英語おもしろいなー」で、どんどんどんどん、英語にのめり込んで行くんですね。
で、その、教えている方も、多くの科目、東大、京大のような、多くの科目をバランスよく勉強する、という経験がない。あるいは、自分自身のまわりにも、そういう人がいなかったんで、(生徒を)どんどんどんどん、英語にのめり込ませて、良い授業、素晴らしい授業に生徒も感動して、それで(志望大学に)落ちる、というのがよくあるんです。

何が起きるかっていうと、現役のとき落ちました、でもぼくはやっぱり先生のところで授業を受けたい、先生のもとで英語をやっていきたい、って言って、その予備校に浪人してくるんで、もう、浪人のいる予備校にとっては、そういう先生がいちばんありがたいんですよ。

で、1年やると結構受かったりして、結局、浪人で、やっぱり○○先生の授業を受けてて良かった、ありがとうございましたって、一浪で受かっていくんですけど、
うちは現役で受からせたいんで、ですから、もう、とにかく、全体のバランスを考えなさい、そこから逆算して、もしかしたらもう現代文ができないならできないでもいいと、とにかく合計点を超える自分の合格パターンを想定して、そこへ走れと。という指示になるんで、まあ、ぼくの言っていることは多くの予備校の先生とは結構矛盾しますね。

受験に関しては結局生徒にきいて全体のバランスを作れないんで、(先生)本人の体験がものを言うんですよ。自分だけじゃなく周囲の仲間がどのように勉強してきたっていうのをよく話をするんで、まあ、(先生)本人が良い大学と言われている所に行っている方が、そのバランスのいい時間の使い方とかを指導するには向いていますよね。
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英語の先生が生徒を過剰に英語にのめり込ませる、といったことは、高校の教員だけでなく塾や予備校でもよく見られます。だから、注意が必要です。英語については、英語オタク(= 受験素人)がとても多いので、そうした講師に当たってしまうことが多いでしょう。

科目は異なりますが、
ある県立高校で、世界史の教師が、あまりに熱心すぎて、生徒に過剰な課題を毎回出し、出さなかったり不十分だったりすると授業中に叱りつけたり立たせたりして生徒を怖がらせることが1年間続きました。そのため授業を受けている生徒はみな、家庭学習で世界史ばかりに時間をかけてしまい、他の科目がおろそかになってしまいました。世界史を受験で取らない生徒も、です。本来は生徒は数学などに時間を使うべきなのにそれを妨害し、自分のために生徒を従わせる最悪の教師です。私がもし生徒の親であれば、高校に怒鳴り込んでいるところです。まだその高校から転任していないので、被害を受け続けている生徒がいます。校長は知っているのか知らないのか、何も有効な手を打っていません。

教員、講師がどういう受験経験を持っているのかは、とても重要なポイントです。
受験は総合力です。受験科目の総合得点で、上から順に合格者になっていきます。
高校の教師は必ずしも大学受験のプロではありません。教員採用試験に合格して採用された公務員に過ぎません。
塾の講師の大半は、一応は受験のプロといえますが、あくまでも担当科目についてのプロ、
つまり、受験「の一部の科目」のプロにすぎません。担当以外の科目については、模試の偏差値などで適当に評価することしかできません。科目ごとに何ができて何ができていないのかまでは、わからないままで受験の指導をしています。
先生自身が受験で苦闘した経験がないのに生徒の受験指導をするなんてことは無理です。
参考にすべきと思ったことは参考にしつつ、生徒が自分主体で判断して勉強していくことが必要です。
勉強の量も必要ですが、やみくもに勉強するのではなく、受験に重要な科目に重点を置いてバランス良く勉強する意識を持ち続けることが大切です。
どの科目にどのくらい時間を振り向けるか、その判断、フィードバックを常に行いましょう。